先日、あるアーティストのLIVEに行かせていただく機会がありました。最近そのアーティストにすっかりハマっていて、音楽はもちろん、ビジュアルや世界観の作り方にもとても惹かれています。今回はプライベートでの鑑賞だったのですが、結果的にとても良い勉強の機会にもなりました。というのもLIVEを通して改めて「見せ方」の奥深さを実感することができたからです。
見せ方の大切さ

ヘアメイクやスタイリングといった仕事は、基本的にやることは変わらないように見えるかもしれません。しかし、それをどう見せるかは、シチュエーションやテーマによってまったく違ってきます。
一つのヘアメイクが完璧にできたからといって、すべての場面で通用するわけではありません。現場ごとに求められるバランスやニュアンスが異なり、常にアップデートが必要です。私たちの仕事は、毎回が新しい挑戦であり、日々が学びの連続です。そんな中で、今回のLIVEは非常に刺激的で、感性を揺さぶられるような経験でした。
楽曲に合わせた完璧なヘアメイク

特に印象に残ったのは、楽曲の雰囲気やセットリストに合わせて、衣装やヘアメイクが絶妙に変化していた点です。それも、ただ衣装を替えるだけでなく、見せる角度や照明、ステージ全体との調和まで緻密に計算されていて、どこから見ても美しく、飽きさせない工夫が施されていました。そのすべてが、限られたリハーサル時間や準備時間の中で仕上げられていたことに、プロフェッショナルとしての凄さを感じました。

どの場面も本当に美しくて、ずっと見ていたくなるステージでした
“見える”と“見せる”の違い

私たちが関わるスチール撮影やロケ撮影では、カメラがかなり近くに寄るため、ベースの質感や微細な陰影のつけ方など、細かいニュアンスが非常に重要になってきます。一方、LIVEのようなステージでは、遠くからでもはっきりと伝わるようにする必要があります。「見えるように」ではなく「見せるように」作ることが求められるのです。この違いは文字にすると簡単そうに感じますが、実際は経験とテクニック、そしてセンスが問われる非常に難しいポイントです。

ステージでは「見せる」メイクが大事なんだと改めて実感しました
バランス
今回、私が一番感銘を受け、学ばせていただいたのは「バランス」というキーワードでした。今回のアーティストの方は、身長がそれほど高くないにも関わらず、かっこよさ・セクシーさ・キュートさといった異なる魅力をすべて素敵に表現していました。その秘訣は、やはりスタイリングとヘアメイクのバランスにあると思います。洋服のボリュームやシルエット、ヘアスタイルの高さや抜け感など、細かなディテールの積み重ねが、トータルの印象を大きく左右します。
だからこそ、私たちヘアメイクの仕事では、常に感性を研ぎ澄ませ、新しい情報や刺激を取り入れる姿勢が大切です。雑誌を読んだり、映画を観たり、街を歩いたり、人と話したり…。すべての経験が、次の現場での引き出しになります。
この仕事に終わりはなく、常に自分自身と向き合いながら成長を続けていくものだと改めて感じました。そして、だからこそ辞められないし、ずっと追いかけたくなるのかもしれません。
それでは、また次回のコラムも楽しみにしていただけたら嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。
コメント