スチール vs ムービー:ヘアメイクが変わる理由とは?

ヘアメイクのお仕事

先日、私はCM撮影に参加してきました。わずか30秒のCMですが、その撮影は丸一日をかけて行いました。このような短い時間の映像制作でも、撮影が非常に時間を要するというのはよくあることです。そして、スチール撮影とムービー撮影では、ヘアメイクのアプローチが大きく異なります。今回は、この二つの撮影方法におけるヘアメイクの違いについてお話ししたいと思います。

スチール撮影におけるヘアメイク

スチール撮影の場合、照明の影響でメイクが飛びやすくなるため、しっかりとした肌作りが求められます。特に、顔に陰影をつけるためにハイライトやシェーディングを施し、立体感を出します。これをしないと、照明が当たったときに顔の凹凸が消えてしまい、平坦でのっぺりとした印象になってしまいます。例えば、顔があまりにも平らだと、表情が乏しく、無機質な印象を与えかねません。こうした影響を防ぐために、顔にしっかりと陰影をつけることが重要です。

また、ヘアメイクの際は、背景にも注意を払う必要があります。特に白いバック紙などを使用して撮影する場合、髪の毛が飛び出てしまったり、隙間が目立たないように、細かく調整することが求められます。スチール撮影後の写真には、肌荒れを修正したり、髪の毛が飛び出ている部分を消したり、洋服のシワを直したりと、加工が施されることがあります。修正が多いと、それを担当するスタッフの負担が大きくなるため、撮影時からできるだけ細部に気を配り、修正の必要がないよう心掛けることが重要です。

ハイライトを足しすぎるとテカりすぎてしまうことがあるので、最後にカメラ越しに確認しながら微調整するのが腕の見せどころです!

ムービー撮影におけるヘアメイク

一方、ムービー撮影においては、肌作りに関して少し違ったアプローチが求められます。もしスチール撮影と同じように厚塗りのメイクをしてしまうと、画面に映ったときに厚塗り感が強く出てしまい、非常に不自然に見えてしまいます。ムービー撮影では、ラメやパールが強すぎるハイライトを使うと、テカリが目立ってしまうため、できるだけ自然でナチュラルなベースメイクを心がけます。しかし、ムービーでは肌のアラが非常に目立ちやすいため、ニキビや毛穴のような部分はうまく隠さなければなりません。ナチュラルに見えるように作り込むことが重要ですが、アラが目立たないようにする技術も求められます。

また、ムービー撮影は順番通りに撮影が進むわけではないため、全体を繋げたときに髪型が途中で崩れていると、不自然な印象を与えてしまいます。そのため、ヘアスタイルは崩れにくいようにセットすることが求められます。万が一、髪型が崩れても映像として自然に見えるようなスタイルを心がける必要があります。特に、長時間にわたる撮影では髪型が崩れやすいため、髪を整えることが頻繁に求められますが、基本的には変化を加えず、安定した状態を保つことが大切です。

撮影の流れをきらないよう、お直しにはいるタイミングを見計らうのが重要です!

個人的な感想

個人的には、ムービー撮影はスチール撮影よりもさらに忙しく、移動が多かったり、ヘアメイクのリタッチが頻繁に必要だったりと、体力的にも精神的にもハードな部分が多いです。しかし、その分、スチール撮影以上に達成感を感じる瞬間も多く、終わった後の充実感や楽しさが勝ります。特に、何かを完成させるという実感が強いので、忙しくてもやりがいを感じることができます。

このように、スチール撮影とムービー撮影では、求められるヘアメイクの技術やアプローチが異なります。どちらも細部まで気を使いながら、より良い結果を目指して作り上げていくことが大切だと改めて感じました。

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